夏休みに読んで面白かった本 2020
今日から二期開始。夏休みはあっという間だったけれど、充実していた。面白い本も読めた。ゼミ生に夏の読書報告をするように言っているので、私もレポ。
小川さやか『 チョンキンマンションのボスは知っている』
多様な経験観察を明快に分析。ビジネスとは根本的にはどのようなものかが見えてとても面白い。信頼の欠如によって信頼ビジネス・システムが成り立つという指摘が腑に落ちる。「ついでに」というあり方にハッとする。すごく勢いのある人々の話を読むだけで単純に面白く快感なのでおすすめ。
秋山晋吾『姦通裁判 ―18世紀トランシルヴァニアの村の世界ー』
めちゃめちゃ面白くて一気読みしてしまった。田舎の「三角関係」をめぐる裁判記録から人々の生活を再構成するスリリングな作業。著者偉すぎ。手軽に読める素晴らしい社会史入門だと思う。
論文からの逃避で読み始めたのだが、こんなに優れた研究を前にして私が論文を書く意味って...とダウナーに。
28の視点(結婚、死、老後、教育等)から古代ローマの生活と世界観を描き出す。生活描写そのものも面白いが、Lifeを切り取るためにはこういう点に着目すればいいんだってわかるのが新鮮だった。良書。おすすめ。
シリーズ「世界哲学史」1~8
気になった巻・章をつまみ読み。古代〜中世は知らないことばかりでとても楽しい。書き手の書きぶりを読み較べるのも面白い。
ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイブ』
新訳が読みやすい。これ、ゲラゲラ笑いながら読む本だと思う。
詫摩佳代『人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差』
感染症と人類の歴史をコンパクトに見通せる。倫理学的には第4章「生活習慣病対策の難しさ」、第5章「『健康への権利』をめぐる闘い」が特に大事。公衆衛生倫理授業のおすすめ文献リストに入れます。