2020年前半に読んだおすすめ文庫・新書【歴史もの編】
ゼミ用ネタの仕入れも兼ねて、目に留まったものを色々読みました。気がつくと歴史本を手に取ってしまう。
世界史系
『エリザベス女王』
エリザベス二世の評伝。彼女の人生がイギリス現代史とピタッと重なるところが、副題「史上最長・最強のイギリス君主」とされる所以。王室の恋愛問題の多さに正直びっくり。王族の人間臭さが印象に残った。
『古代ローマの生活』
28の視点(結婚、死、老後、教育等)から古代ローマの生活と世界観を描き出す。生活描写そのものも面白いが、Lifeを切り取るためにはこういう点に着目すればいいんだってわかるのが新鮮だった。良書。おすすめ。
勉強になる。第12章「戦後から現代へ」はまさに今の話なので、特に興味深く読んだ。女性と教会の関係にもページが割かれている。143頁からは19世紀半ばの様子。211頁からは中絶を含む現代の課題。
『キリスト教と戦争』
副題通り、愛と平和を説く宗教と戦争の一見矛盾する関係を、歴史と教義から解きほぐす本。取り扱う内容と著者の書きぶりに評価が分かれそうだけど、私はとても面白く読んだ。日本のキリスト教会史に一章割かれているのもよい。
『病魔という悪の物語』
時事ネタも兼ねて。20世紀初頭のNY、腸チフス「健康保菌者」メアリーの、強制隔離された半生をたどる公衆衛生倫理の物語。「危険の個人性」という考え方がリアルな昨今。とても面白かった。おすすめ。
日本史系
『耳鼻削ぎの日本史』
『日本神判史』を読んで以来著者のファン。一般書はだいたい読んでいるけれど、これは特に面白い。過去の人間とのものの見方の違いを知るのって本当に楽しい。タイトルで敬遠されるかもだけど、そんなにグロくないよ!
『世界の辺境とハードボイルド室町時代』
引き続き、清水克行さんのファンなので手に取った。世界の辺境(ソマリランド等)と室町時代は似ている!という話でかなり分厚い文庫一冊。面白く読めた。端々に書かれる大学教員あるあるに共感。